遠藤鯉店

おいしい鯉を育てるには水が重要です。家庭の食卓になかなか上がることのない鯉は、昔から郷土料理として親しまれてきました。

おいしい鯉は清流で育つ

家庭の食卓になかなか上がることのない鯉は、昔から郷土料理として親しまれてきました。日本の川や池、沼などに多く生息していて釣るのは難しくありません。ただし河川にいる鯉は泥が多くて臭みもあるため、鯉を扱う専門店で食べるのが一般的です。「コイ」の語源は「味が肥えている」ことに由来するとも言われています。

脂が少ないほうが包丁も入りやすく調理もラクですが、鯉は脂があったほうが甘みもあって断然おいしい。おいしい鯉を育てるには水が重要です。きれいな水で育った鯉ほど、臭みがありません。「水は清流を引きこんだ天然水。きれいなだけでなく、夏でも水温はさほど変わらないのです」と語る遠藤鯉店の遠藤さん。水は自然の恵みだけに、台風などの自然災害で泥水が入ったり、水路が詰まるなど影響を受けることもあります。

餌をあげず泥臭さを防ぐ

美味しい鯉に仕上げるため、3週間から1ヶ月は鯉に餌をあげないとのこと。餌と同時に土を飲んでしまい、それが泥臭さのもとになるから。鯉は80年生きる言われている長寿の魚ですが、「鯉の洗い」や「鯉の刺身」をおいしく食べるのは3年目ぐらいが良い。大きくなると味はしっかりとしていきますが、身の中の小骨が食べにいと言います。70年以上鯉を育てた経験が、美味しい鯉を育てます。

技が活きる「鯉の洗い」

鯉料理もいろいろあります。そのまま食べる刺身は、白身で弾力のある食感が魅力。「鯉こく」は輪切りにした鯉を味噌(赤味噌、白味噌どちらでも)で煮込む料理。江戸時代には「鯉汁」とも呼ばれていたそうです。ホテルでも提供する「鯉の洗い」は50℃前後のお湯に入れたあと、流水でよく冷やして酢味噌などで食べます。

その日にさばいた鯉が一番美味しいと話す遠藤さん。同じ鬼怒川温泉にある鯉店だからこそ、美味しい鯉を仕入れられるのです。プロが育てた新鮮な鯉をぜひ賞味ください。


(生産者データ)

生産者/有限会社 遠藤鯉店

所在地/栃木県日光市藤原312

電 話/0288-77-0583